「絵画を考える」作家紹介 ^貍鯣由紀・大渕花波・鈴木敦子・中西寿美江

9月5日(土)に開幕する「絵画を考える」はシリーズ企画第11回目を迎えました。

本展は「水を描く」がテーマ。7人の作家が、新作約20点を展示いたします。

 

作家の皆さんは、それぞれテーマをいただいてから何を想って制作されたのでしょうか?

今週から2週に渡って、作品紹介とコメントなどを紹介いたします。

 

今回は、一条美由紀・大渕花波・鈴木敦子・中西寿美江 (50音順) の4人を紹介いたします。

 

一条美由紀

 

シリーズ作品「千年生きし、還る海」一条美由紀

 

●シリーズ作品コメント「千年生きし、還る海」
 私たちは海から生まれ、身体の中にはその名残がある。全ての生命が命を繋いで消え、また生まれる。
 人は生きることに意味を求めるが、ただ存在の循環があるだけなのだ。

●「水を描く」というテーマで展覧会へのお誘いをいたしましたが、初めに何を想いましたか? 

 自分の体の中に流れる水を思い浮かべました。

●本テーマで取り組んだ新作について、どのように取り組まれましたか?

 水とは何か、水と自分の関係は何かを考え、最終的に海からきた自分をイメージしていきました。

●展示作品についてお聞かせください。また、新たに試みたことや特にこだわった部分があればお聞かせください。

 今回海をイメージしていたら、自分が海を泳いでいるかのように感じていました。
 自分の周りを海水が取り囲む、そんな空想をしていたら、抽象的なイメージが湧いてきたので、
 いつもより抽象的な作品になっているかもしれないと思っています。

●あなたにとって「絵画」とは何でしょうか。

 「絵画」とは、一番身近に自分を表現できる手段だと思ってます。
 でもそれは簡単ではなく、毎回自分を深く探っていく作業でもあります。
 描いてない期間が17年と長かったので、その間うつ病ではないかと思った時期もあり、絵画は、自分にとってセラピーになっているかもしれません。
 自分を探り、絵画としてして表面化した作品をみて、さらに意識しなかった自分を知る道具でもあります。
 そしてその作品を発表することによって、絵画を通じて他人とのコミュニケーションになっています。
 願わくは、自分の作品が見る人の心の奥に入り込み、その人にとって心のなかの会話となっていただければと思います。

●コロナ禍ではございますが、今後の活動の目標や挑戦したいこと、制作の姿勢などをお聞かせください。

 コロナが今までの人類の生活を少し変化させたかと思います。でもそういう社会の中で時代を感じつつ、社会に関わり生活する一個人として、その日できることを淡々とやっていくだけです。


[略歴]
福島県生まれ
1994〜2001 
デュッセルドルフ美術アカデミー在学 ドイツ(1997年 アカデミー旅行奨学金)

<主な展覧会>


2020 
「Take me to your home」ART TRACE GALLERY(東京)
エスプラナード展2020、どこかでお会いしましたね 2020(さいたま国際芸術祭2020)埼玉会館 (埼玉)
「ONVO STUDIO EXHIBITION Vol.1」 ONVO STUDIO伊奈町 (埼玉)

2019 
個展「The bigger the lie, the more they believe.」Gallery 美の舎 (東京)
都美セレクショングループ展  東京都美術館 (東京)
「さまざまな形、さまざまな色」 工房 親 (東京)

2018
個展「Interact with yourself-自己との会話- 」 学習院女子大学 文化交流ギャラリー (東京)
「どこかでお会いしましたね」展  (埼玉) 2018年以降参加
3331 ART FAIR アーツ千代田 、連動展「布置を描く」ART TRACE GALLERY (東京)

2017 
「本当のことは言わない」HAGISO (東京)

その他、日本とドイツでの個展、グループ展。Art Düsseldorf等に出品


 

大渕花波

 

(右)「おばけのプラクティス#20」(2020)
額縁、麺布にアクリル、ハトメ、釘/アクリル 60×10×52cm

(左)「おばけのケイオス」(2020)
木片に額縁、アクリル 15×15×18cm

 

●作品コメント

「おばけのプラクティス#20」
額縁と絵画を反転させたシリーズです。装飾されるための額縁と、額縁を装飾するための絵画を制作しています。シリーズでもっとも細密に原作となる絵画を再現しました。

「おばけのケイオス」
額縁・絵の具・タブローを記号化し、ひとつの立体作品としてまとめたシリーズです。

●「水を描く」というテーマで展覧会へのお誘いをいたしましたが、初めに何を想いましたか? 

 はじめに、私の好きな作品であるジョン・エヴァレット・ミレー作「オフィーリア」を思い浮かべました。以前から描きたい題材であったのと、ちょうど「オフィーリア」の絵画を「額装」したいと思える額縁に出会ったからです。

●本テーマで取り組んだ新作について、どのように取り組まれましたか?

 この新型ウイルス流行禍のなかで大学院生という立場の私は、題材であるハムレットの登場人物オフィー
リアのように、鬱屈としたどこかへ気持ちをとばして、もはや現実と非現実の境にいてしまいたくなるよ
うな気持ちに苛まれました。その中で、絵画を描くという行為によって現実に引き止められていたと完成した今だからこそ言えます。
水に浮かぶように現実と非現実を境を彷徨う感覚は、新型ウイルス流行禍において奇しくも時世にぴったり当てはまるテーマであった、と感じています。

●展示作品についてお聞かせください。また、新たに試みたことや特にこだわった部分があればお聞かせください。

 「オフィーリア」を額装に使うにあたって、額縁の大きさに合わせ絵画自体の縮尺を変化させ、トリミングした点にこだわりました。また、「おばけのケイオス」ではより記号化を強調するために、シンプルな色面構成を心がけました。

●あなたにとって「絵画」とは何でしょうか。

 絵画とは、つねに古いものと新しいものが混在する、つまらなくて面白くすることが面白いものであると思います。だからこそ新たな表現に挑戦し続けたいです

●コロナ禍ではございますが、今後の活動の目標や挑戦したいこと、制作の姿勢などをお聞かせください。

 この新型ウイルス流行のなかで、絵画を含む芸術分野がどのようなものになっていくのかは未知数です。また、この時代を経た作品たちがどのような姿になっていくのか、楽しみにするには時期尚早であるとも感じています。まずは日々を健康に生き、一歩一歩目の前を歩んでいくこと、そして手を休めないことを大切にし、着実に前に進んでいきたいと思っています。

[略歴]
1996 東京に生まれる

2019 多摩美術大学絵画専攻油画学科 卒業
2019 多摩美術大学大学院博士前期課程美術研究科絵画専攻油画研究領域 入学
2020 同大学院 在学中

受賞歴
2019 平成32年度卒業制作優秀賞 受賞

主な展覧会
2020 『春韻展』工房親  (東京)
2020 『Square double』フリュウギャラリー  (東京)
2019 『Guest house』裏参道ガーデン  (東京)
2018 『モノクロマティカ』フリュウギャラリー  (東京)
2018 『桃と花/余白を読む』工房親  (東京)


 

鈴木敦子

 

「一雨」(2020)ミクストメディア

油彩 アクリル絵具 水性アルキド樹脂 墨 色鉛筆 ジェッソ 麻布 パネル

162×3.2×112cm 

 

●作品コメント

 激しく降る雨の日に水たまりに落ちる雨の水滴の形に目を奪われました。次から次へと雨粒の正円の形が重なり合って消えていく光景が鮮明に映りました。この雨を描きたいと思いました。

 

●「水を描く」というテーマで展覧会へのお誘いをいたしましたが、初めに何を想いましたか? 

 学生の頃から「水」を描いてきたので、一つの区切りとなるような作品にできたらと思いました。

 

●本テーマで取り組んだ新作について、どのように取り組まれましたか?

 雨をどのように平面に落とし込んでいくのか、手を動かしながら描いては離れて画面を眺め、描いては離れて眺めてと繰り返して制作の工程を一つ一つ確かめながら、作品の声を聴くようにして取り組みました。

 

●展示作品についてお聞かせください。また、新たに試みたことや特にこだわった部分があればお聞かせください。

始めに見た雨の水滴が変化する光景と降り続く時間を内包させるための画材選びや描く線と色と大きさ、制作過程で変化する画面上の調和とバランスを一つ一つ確認しながら制作を進めました。

 

●あなたにとって「絵画」とは何でしょうか。

「絵画」は私にとって表現手段の場です。描くことで純粋になることができるように感じています。また、「絵画」を通して外との関わりを持つことができる場です。

 

●コロナ禍ではございますが、今後の活動の目標や挑戦したいこと、制作の姿勢などをお聞かせください。

新しいことを見つけて挑戦し続けたいです。いつも新鮮な感覚を持ち続け、嘘のないものを正直に作り、今できる最大限のことをお見せできるように励みたいと思います。

 

[略歴]

1981 東京都生まれ

2004 東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業

2013 第28回ホルベイン・スカラシップ奨学生

 

個展

2016 「中庭」Gallery Pepin(埼玉)

2015 iGallery DC(山梨)(’19)

2013 「つなげる」OFFICE IIDA(東京) (’18)

2010 「描く・ぬう」A-things(東京)

2006 藍画廊(東京)(’07, ’08, ’10, ’12, ’14, ’20)

主なグループ展

2019 「FACETS」ART TRACE GALLERY (東京)

2017 「春韻」工房 親(東京)(’18, ’19)

   「LOOP」東京都済生会向島病院 (東京)

2014 「ART OSAKA 2014」ホテル グランヴィア大阪 工房 親 (大阪)

2013 「VOCA展2013 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」上野の森美術館 (東京)

   「NEW CITY ART FAIR」阪急うめだ本店 阪急うめだギャラリー 工房 親 (大阪)

2011 「Art in an Office―印象派・近代日本画から現代絵画まで」豊田市美術館 (愛知)

2010 「時の遊園地」名古屋ボストン美術館 (愛知)

   「絵画のサイズ・絵画のイメージ」工房 親(東京)

   (’11「絵画を考える―支持体」, ’12「描くモノ」, ’13「色彩」, ’15「自然」, ’18「時を描く」, ’19

   「音を描く」)

2009 「2009 ASIAN STUDENTS YOUNG ARTISTS ART FESTIVAL」Defense Security Command Old building   gallery

    21yo-j (韓国)

2008 「ASIA TOP GALLERY HOTEL ART FAIR 2008」ホテル ニューオータニ 藍画廊(東京)

 

 

中西寿美江

 

(右)「Sea 0/0/0 #1」(2020)漆、土、木 h515 w728  d25

(左)「Sea 0/0/0 #2」(2020)漆、土、木 h400  w500  d25

(中)「Sea 0/0/0 #3」(2020)漆、土、木 h300  w400 d25

 

●シリーズ作品「Sea  0/0/0」コメント

 誰もが、絶対なる大きなものに包まれていた記憶は、気がつけば日常の中に忘却されてしまう。けれど、海ができた時の光景は、わたし達の記憶をそこに帰してくれるだろう。

 

●「水を描く」というテーマで展覧会へのお誘いをいたしましたが、初めに何を想いましたか? 

 なんて自由なテーマなの!何でもありじゃない?っと思いました。

 

●本テーマで取り組んだ新作について、どのように取り組まれましたか?

 作品を制作する際はいつもそうなのですが、まずテーマを頭の片隅に置いておくと、ある時、画像で浮んできます。その意味を考えて、それに近づける様に制作する感じです。

 

●展示作品についてお聞かせください。また、新たに試みたことや特にこだわった部分があればお聞かせください。

 漆で描く場合は、その日の温度や湿度、漆と土を調合してからの経過時間によって色味が変わっていきます。また、塗布した漆の厚みでも色味は変わります。

なので、天気予報を気にしながら、気にいった色味になるまで何枚も描いて、偶然を待つことが少しのこだわりです。

 

●あなたにとって「絵画」とは何でしょうか。

 絵画というと、どうしても歴史の中にある絵画としてカテゴライズされた作品を浮かべてしまいます。わたし自身は絵画にこだわった制作活動をしていないので、絵画について考えてぬかれた結論ではないのですが、わたしにとっては、それぞれの人がこれは絵画だという判断をすればそれで良いのではと思っています。なので人それぞれ、それを絵画と思った時に、それはその人にとって絵画になるのだろうと思います。

 

●コロナ禍ではございますが、今後の活動の目標や挑戦したいこと、制作の姿勢などをお聞かせください。

 今年はインドには行けそうにないのですが、ヨガ好きがこうじて何度かインドに行かせてもらっています。昨年インドに行った際に、インドの歴史を語る上で欠かす事のできないガンジーの博物館に行きました。身のまわりの家財や備品など、生き方すべてにかれの思想がこめられている部屋の壁に、この言葉がありました『My  life is  my Message』。その時、わたしはそんな生き方がしたいのだと気づかされました。現時点ではあまりに遠い生活ですが、ひとつの指標になっています。そして、もうひとつ心に残った言葉があります。『simplicity is the essence of universality』(シンプルさは普遍性の本質です)この言葉はわたしの制作に対しての姿勢と重なります。

 

[略歴]

1997年 東京芸術大学大学院漆芸科専攻修士課程修了

1995年 東京芸術大学美術学部工芸科卒業

2020年 かえりやま展       (東京)

2018年 絵画を考える 工房親  (東京)

2017年 CONTRAST  Japan’s Potential  工房親  (東京)

2016年 それぞれのカタチ 工房親   (東京)                                     5

2015年  December Tune それぞれのカタチ 工房親    (東京)

2014年  春韻展 工房親    (東京)

        30voices,30vuariations 工房親    (東京)

2012年  CORRESPONDENCE/LANDSCAPE 工房親   (東京)

2010年 Featuring  Blue Bird   EXIT11 Contemporary art  (Belgium)

2009年 Blue Bird   ギャラリー山口   個展    (東京)

2007年 pale blue dot  工房親   個展    (東京)

        Joyeux Noel 工房親     (東京)

        第3回アート・ジャム 'ギフト' 展  ギャラリー山口    (東京)

2005年  ギャラリー山口   個展    (東京)

2003年  ギャラリー山口   個展    (東京)

2001年   SPICA art   個展    (東京)

 

賞歴

2008年 鹿島彫刻コンクール 模型賞受賞

1993年 藤野賞受賞

 

 


 

絵画を考える -水を描く-
会期 2020年9月5日(土) - 9月20日(日)
開廊 水 - 日   12:00 - 19:00  (日曜は18時まで。展示最終日は17:00まで。)
休廊 月・火
 
https://www.kobochika.com/homepage/html/exhibition_20200905.html
 
※オープニングは開催いたしません。
新型コロナ感染拡大状況に応じて開催日時や営業方法が変更となる場合もございます。
ご来廊時にはマスク着用の上、手指消毒をお願いいたします。
最新情報はwebsite、または、email宛てにお問い合わせ下さい

 


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  • 2020.09.18 Friday
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  • 16:12
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