ロエベ ファンデーション クラフト プライズ 2019 と 西川雅典

6月26日〜7月22日(月)まで、ロエベ クラフト プライズ2019 のファイナリスト29人の展示が青山の草月会館で行われた。

工房親 でも何度かご紹介している、漆作家の西川雅典作品が展示されていたので、私も観に行った。

 

西川雅典, 日本 『Form of the wind』漆、リネン生地、和紙、錫粉、白金粉、240 x 520 x 850 mm 2018年

 

100ヶ国以上の国から2500点に及ぶ作品からの29人のファイナリストの作品展示でイサム・ノグチの石を使った緩やかな空間に素晴らしい作品が並びとても良かった。


 

グランプリに輝いた作品はヨーロッパ在住の日本人の漆作家 石塚源太 の『Surface Tactility #11 』 。

 

日本の伝統的な漆の乾漆技法で現在の西洋での暮らしの中からインスピレーションして生まれてきた作品で、漆の赤のテリがひときわ美しいのか印象的だった。


同じく、漆作家の西川雅典の作品 "Form of the wind" は、風という抽象的なものを彼らしくシャープなフォルムで色を大胆に使って表現豊かな作品に仕立てている。

 

この展覧会を勧めて観てこられた方お二人の感想をご紹介する。

 

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先日、馬場さんがお話になっていたロエベの展示を観に行ってきました。

異素材の作品がとなり合うことで差が明確に表れ、それぞれの素材やテクスチャーの違いが見えやすい展示でしたね。
隙間や凹凸の心地よい連続による形態や偶然性を取り込んだ作品そして磨ぎあげられた表面が醸し出す深みなどそれぞれの素材に纏わる技法▪技術を駆使して仕事を全うしている作品が多く、その作品の佇まいには清々しさを感じました。

フォルムとテクスチャーがいい具合に補完し合っているので幾度観ても飽きることがないだろうなと思う作品もありました。

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皮革工芸品で世界的名声を誇るスペインの会社、ロエベ(Loewe)が、“ロエベ クラフト プライズ”の名で作品を一般公募し審査した。2019年のファイナリスト29名から最優秀作家1名を選定し、ファイナリスト作品を草月会館で展示している。 その選考基準は、現代のクラフトマンシップにおける卓越性、芸術的価値から新たなスタンダードを創出する才能、ビジョンを評価する。そのため9名の評価委員がマドリッドで応募全作品を評価した。その結果は世界のクラフトの現状のみならず世界中のクラフト文化の広がりを証明することになった。このようにロエベ財団は自己評価している。 ファイナリスト29名の国籍別分類によると、日本 10名、イギリス 4名、 韓国 4名、イタリア、2名、アメリカ 2名、その他は(ドイツ、スペイン、中國、デンマーク、イスラエル、オランダ、ニュージーランド、)それぞれ1名ずつ。圧倒的に日本が多く、次いでイギリス、韓国だ。芸術と言えばまず語られるフランスが、抜けているのも注目されよう。 これは芸術をファイン アート(Fine art)と呼ぶに対し、工芸をマイナー アート(Minor art)と称するごときが、工芸を一段と低く見る傾向を欧米に定着させた為と見られる。才能が溢れる芸術家を名乗れば、低位に評価される工芸をあえて目指すなど、フランス人の気質からはありえない。19世紀に勃興してきた産業の工業化が、工芸を工業的産物とみなし、フランス語で“art technique”(技法的芸術)と纏めたのも、才能ある芸術家の参入を躊躇させる要因となったはずだ。 このフランス的動向に反し、イギリスは詩人ウイリアム モリスの芸術と工芸の同化を目指す運動が巻き起こす旋風を無視できず、ドイツでもバウハウスの工芸教育が新たな方向性を示した。日本では、工芸を欧米諸国と異なり工業製品とは位置つけず、明治の殖産政策においても、世界市場に受け入れられる作品を、良しとしている。 日本では実用が優先され、“実用の美”“なる言葉”さえ生み出した。これとは別系譜となる装飾美に、作家の感覚、感性を入れ込む作品が、特に戦後出現する。実用から離れた作品を日展は取上げだす。これらを工芸と称するのか、日本の評論家は決めかねているのが現状だ。 斯様な工芸、クラフトの動向を頭に入れながら展示会を回ると、ロエベ財団の審査員は、実用性より芸術作品に近接する方向性を求めたと判る。添付した写真の(左)は若い日本人作家の作品で、””Surface Tactility # 11”, 最優秀賞を受賞。 日本の伝統的な乾漆技法と天然漆を基本に、“目に見えないものに形を与え、過去と現在の相互関係に想いを巡らせている”と作者は言う。 (右)も日本人作家の作品。“”Form of the wind”この作品での受賞はかなわなかったものの、朝日現代クラフト展での大賞など、数多くの受賞歴があり、日本クラフトデザイン協会会員。この作品も乾漆技法が用いっれており、目に見えずとも絶えず吹く風が生み出す様相を、作品の表面に出した、とは作者の言葉。 唐招提寺に座します国宝鑑真和上もこの乾漆技法で作られている。その技法を現代に生かし、作品に生かせるとは、日本人作家の喜びであろう。鑑真和上坐像からの発展をたどる気持ちで、これら作品を、私は鑑賞した。欧米が到底及ばないクラフト技法を、長い年月を超え伝える日本の芸術的豊かさこそが、深く理解されるべきだ、と。 この展示会の入場料は無料。若い女性方が多く鑑賞しておられ、日本でのクラフト芸術への関心の広がりが見えて、楽しいひと時を過ごした。会期は7月22日まで、時間は10:00 − 19:00.金曜のみ20:00まで。 

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西川氏自身からも今回とても良い経験になりこれから益々精進して行きたいとの感想を頂いた。

 

馬場隆子


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  • 2019.08.23 Friday
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  • 17:30
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