「時を描く -絵画表現での時間性- 」作家紹介

シリーズ企画 「絵画を考える」は9月8日からスタートして遠くは福岡や岩手からのご来場もあり好評です。

 

今回の展覧会のテーマは「時を描く -絵画表現での時間性- 」。各作家に展示作品や今回のテーマについてお答えいただいたコメントをご紹介します。今週は、鈴木敦子、トキ・マサキ、中西寿美江、中村索の4名を紹介いたします。(アイウエオ順)

来週は、西村晴恵、根本篤志、長谷川誠、堀部由佳子となります。

 

 

鈴木敦子

 

▲7作品全体像

 

   

▲作品ディテール( 左: 「静まる」 右: 「Untitled」)

 

 展覧会のお話をいただいてから「時間」を表現する為には、どのようにしたらいいのか考えました。点を打つ、線を引くといった描く原点になるような行為の積み重ねの集積を形にすることで、それを「時間」として表現できたらと、今まで制作したストライプ等で表現した作品を集めて、新しく制作した作品を加えました。制作はキャンバスとなる布選びと作品のサイズ選びから始まります。布に下地を施し、絵の具で描いていきます。絵の具の他に、糸を画材の一つとして使うこともあります。糸で縫うことは描くことと同じ感覚で制作をしているのですが、他の画材とは異なる質感が得られ、縫う過程での時間が現れるように感じます。作品との対話を通じて、その時々で素材や画材を選びながら制作をしています。このような行為の一つ一つの積み重ねが形となって層となり、その層の集積が地層となって「時間」が現れてくるように感じます。

私にとって制作するということは、今ある一瞬一瞬を形にして刻み、生きている実感を確かめる行為なのかもしれません。

 

 

トキ・マサキ

▲「9月9日」

 

 知人の岡田隆さんの詩に「そこなう」という一編があり、描き損ない続ける我が身に思いあたる。また別の一編には、「描かれなかったものが隠される」と。そして「それなくしては現れず 現れはそれを隠す」とも。現れとしての描き損じと向かい合うことで隠されるものとは。見えているのに測れない時間のことか。そんなことを考えながら今回の作品を制作しました。

 タイトルの「九月九日」は、今年八十六歳になる母の誕生日です。展示期間中にその日はやってきます。日付をタイトルにすることで、鑑賞していただける方々の時間感覚を揺さぶることが出来たらいいと思いました。

 油彩用木枠に帆布を張り、アクリル用下地材を十数回塗り重ねた後、植物をモチーフに水彩色鉛筆とアクリル絵具で線を描いています。線描は出来る限り私の視線に忠実に引かれています。視線はモチーフの輪郭を辿るとこもあれば、そうでないこともあるので描かれた植物は原形を留めていません。今回は三次元的イメージを喚起しないよう色彩の使用を控えました。小品2点はバックライトフィルムに染料を流し込んだものを2枚のアクリル板で挟んであります。小品と前述の作品は見かけ上大きく異なりますが、制作時期は連続していて色材の画面への滲み方に共通項を見出しています。

 

▲(小品) 左「溶けゆく山 / mixing mountain」 右 「舌径 / Tongue Alley」

 

 

中西寿美江

 

今までの作品は、彫刻やインスタレーションなどで表現をしていていました。どちらかというと絵画には苦手意識があったのですが、今回の展示の「時を描く」というテーマを聞いて、それなら描くことが出来るような気がしました。以前から漆を使用して作業している時に、ひとつ一つの工程に時を感じる事が多く、テーマと同じ様な行為をしていると感じていたからです。そのせいか、アタという作品はテーマを聞いてすぐに完成した絵が頭の中に浮かびました。

作品の画面は漆と水と土だけを材料として描かれています。色味の違いはその材料を調合してからの時間や気温の変化によるもので、同じ調合の物でも、漆の成分が水の成分と化学反応をおこして固化する時の気温や湿度によって、色味が明るくなったり暗くなったりしたします。自然の中にある物どうしが、ある時にある環境で合わさることで生まれる偶然の色味です。その時その場所でしか起こりえなかった反応により、色の違いが生まれることを利用して、ひとつの絵が描かれています。描かれた内容に時をこめたというより、工程や行為そのもので「時を描く」というテーマに思いをこめています。

 

▲ 左: 「空と飛ぶ」 中央: 「黒い太陽と亀」 右:「アタ」

 

 

中村索

 

▲ 上: 「1/70 秒」 下: 「1/30 秒」

 

時間の中で生まれて、時間の中で死ぬ

時間の中で呼吸して、時間の中で眠り

時間の中で目覚め、時間の中でコーヒーを沸かし

時間の中で筆を選んで、時間の中で絵具をパレットに出し

時間の中で3原色を混ぜてグレイを作り

時間の中で新しいキャンバスに最初の一筆を置く

時間の中で声を聞き

時間の中で遠くへ答え

時間の中で靴を脱いで草の上を歩き

時間の中で本のページをめくり

時間の中でぼんやりと天井を見上げ

時間の中の青い海でいつまでも泳ぐ

いつまでもいつまでも泳ぐ

 

 

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シリーズ企画「絵画を考える」

 

「時を描く -絵画表現での時間性-」

会期: 9月8日(土) - 9月29日(土) 

OPEN 12:00  CLOSED 19:00
※日曜・最終日 18:00 まで
休廊 月・火

 

http://www.kobochika.com/homepage/html/exhibition_20180908_0929.html

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馬場隆子

 


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  • 2018.10.19 Friday
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