アーティストとロボット テクノロジーアートを考える

今回はパリの知人から届いた便りを紹介する。

 

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ストラヴィンスキーの泉 1982

 

公共広場に生まれた動く作品・ストラヴィンスキー広場の泉水を眺めてみよう。ニキ・ド・サンファール(色彩彫刻)とジャン・ティンゲリ(自動機械=ロボット)の共同制作で、火の鳥、スピラル、象、ディアゴナル、人魚、ラグタイム… という風に程よく配置された16点が水を噴く。

 

ティンゲリはネオ・ダダ精神でマシンを造り、アート界にロボットを入れた先駆者の一人だったし、ニキは、エルサレム市長の依頼で街の遊園地に作ったすべり台の怪物ゴーレムを生涯誇りにしていた。ゴーレムはユダヤ教の伝説の泥で作られた人造人間で、普段は創造者に忠実だが、いったんその扱い方を間違うととんでもないことをしでかす。16世紀にプラハのユダヤ教のラビLöwによって、ぐんとポピュラーにされた。ゴーレムの影響は、童話をはじめ、文学・音楽・シネマから現代TVドラマに至るまで、広範囲に及んでいる。

 

1800年代初期にメアリー・シェリーが書いたフランケンシュタインは、初めてのSF小説ともいわれる。人造人間をつくる研究に没頭した科学者フランケンシュタインは、野心と狂気を孕んだ背徳心でおぞましい怪物を作ってしまい、つぎつぎとヒューマニズムを破壊する悲劇を招くはめになった。

 

ロボットということばは、労働、隷属を意味するチェコ語Robotaからきていて、カレル・チャペックが1920年のSF戯曲『ロボット(R.U.R)』で初めて使う。働かせるために人間が造ったロボットたちが人間に反撃してくるという筋だった。

人間に換わる、また人間以上のパワーをもつ存在を生むことはずっと人類の夢だった。そしてその夢の実現には生命を与えたものに支配されるという恐怖がつきまとっていた。

 

 

「アーティストとロボット」展 2018

 

ロボットがアート界にあらわれておよそ60年経つ。「アーティストとロボット」展では、機械の手やジープが自由自在にうごいてデッサンを描く。光や音や形のデジタル映像に誘い込まれる。いつしか見学者を参加させるインタラクティブアートがある。シリコンのAIロボットが人間並みに喋り動いて、息を呑ませる。

ティンゲリー作1959年のマシンMéta- Maticsは、人が交代して動かすたびに異なったデッサンを描いた。そこですでに機械発案者、機械、動かす人のいずれがアーティストなのかと問われている。

 

産業界の科学テクノロジーが生活に浸透し、現代社会ではデジタル化が進む。この展覧会は、高度化の一途をたどる科学とアート、制作と参加、アーティストと私たち… の関わりについて、あらためて私たちに考えさせる。

 

(Y


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  • 2019.01.19 Saturday
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