『逸る狂気 - アール・ブリュットの源』

スタッフの深川です。

8月に入り、世界各地で猛暑のニュースが連日止まない。日本も漏れなく、異常な夏を迎えている。工房親(チカ)近くの広尾商店街では、8/5(土)に打ち水大作戦が開催されるとのことで何だか広尾も楽しい街だな〜と思いながら用事を済ませる毎日です。皆さんも、暑さを楽しめるようなマインドも持ちつつ夏を乗り越えたいですね!

 

今日は馬場さんの知人、パリ在住の方から届いた便りを紹介いたします。

 

*****

 

『逸る狂気 - アール・ブリュットの源』

La Folie en tête aux racines de l'art brut

11/2017−03/2018

 

 

歴史地区にある文豪ヴィクトル・ユーゴーの家で展覧会があった。ユーゴ―の兄ウージェンヌと末娘アデルが共に精神を病んだことに関連づけ、作品はスコットランド、フランス、スイスの三人の精神科医の蒐集作品とドイツのプリンツホルン・コレクションから来ていた。

 

19世紀後半から20世紀にかけて精神科医たちは、テラピーとして患者に絵を描くことを奨め、衝動からくる個々の純粋な表現につよい関心をもった。あつめた作品は病院内や街の画廊で紹介され、第一次世界大戦前後のアヴァンギャルドたちの注目をひく。反・文化/非・西洋美術の風潮が美術界で高まるなかに、1922年プリンツホルン著の『精神病者の芸術作品』が出版され、ポール・クレーや シューレアリストは影響をうける。ジャン・デュビュッフェが1945年に、これら既成美術の枠外にある作品群をアール・ブリュット(生の芸術)と呼称し、のちに公立アール・ブリュット美術館をローザンヌに設立した。

 

 

 

これらの作品200点はアール・ブリュットの源泉として紹介され、展覧会はその芸術性を称えるとともに、精神科医へオマージュを捧げている。

「太陽の雄鶏共和国は仮装しない晩餐舞踏会を催す」A.Klett ‐1923    

 

 

長い題のポスターはシリーズの一枚(部分)で物語風。

 

はじめに、山と湖と病院のあるスコットランドの風景がでてくる。19世紀の水彩画で作者は不明。

 

ポットやカップの中でピンクの草花が咲き乱れるティー・セット(J.Askew)や、街道をいく一台の辻馬車の青一色淡彩デッサン(de Mayo)は、詩の一片のよう。

 

帆船の浮かぶ海、海から生える巨大な二本の麦穂、陽光と雲の装飾モチーフ、これら三つの斬新な組み合わせは自称「旅するフランス人」。よく知られたA.Wölfliのブレムガルテン城は鉛筆と黒鉛の大作、横たわる鯨のような巨体、その余白を城郭や城塞や砦がびっしり埋めつくしている。星が一面にかがやく蒲団?に下半身が包まれたキリスト像は細密なイコン(Victor-François )…

 

 

 

画用紙に鉛筆クレヨン水彩の絵やデッサンが多く、粗布に木綿糸の刺繍、ボール紙の帆船、粘土の盆や水差しもある。簡素な素材に刻まれた心象の数々は、いずれも湧き上がる想像の世界を自由に泳いでいるようだ。

 

  « 鍵穴 »  鈴木ヒラク  2015
« 鍵穴 »  鈴木ヒラク  2015

              

 

数年前パリの日仏文化会館でCOSMOS/INTIME展があった。精神科医の高橋龍太郎コレクション40点余りで、国際的に知られる作家を含む、主に1960年代以降に生まれた世代の作品だった。歴史の威光と退廃、パニック、シリウスのオデュッセイア、食品連鎖といったマクロ世界が、大胆な発想で構成され、強烈なエネルギーを発散している。一方、深い内面の世界があった。自然物、宇宙人? 第六感、鞄などが、個人の物語を語る。

 

 

多様な表現スタイルはいずれも独創性に満ちていて、内奥に潜む自己の探求をつづけている。

 

 

(Y)

 


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  • 2018.10.19 Friday
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