深川雅文氏インタビュー

恵比寿映像祭・地域連携プログラムがはじまって以来、工房親は写真や映像などで毎年参加させていただいています。

 

今年は初めて深川さんのキュレーションで相模智之の写真展をご紹介しています。

長年勤務していらした美術館を離れ、フリーになられた深川さんと特にお得意分野の写真、映像でご一緒させていただき大変嬉しく思っています。

 

 

 

 

 

 

今回はそんな深川雅文さんにインタビューを行いました。

 

 

 

〆2鵑留覗祭の全体のテーマは「インヴィジブル」、相模智之のタイトルは「Behind Closed Doors」。まさに目に見えない扉の背後にある作品を展示。写真の持つ力というか、本物の見え方を感じますが、深川さんはその辺りは相模さんを選ぶ時にどのように感じられたのでしょうか?

 

相模さんの作品については、三〜四年ほど前に、相模さんから電話で連絡をいただき、見てもらいたいのですがという申し出をいただき、まとまった数を見せてもらったことがありました。内容的には気になる作品でしたが、どのようにまとめて見せたらいいのかを考えないといけない作品であると感じまして、そのことを相模さんに伝えた覚えがあります。実際に展示して見ないとわからない部分が大きな未知数の作品で挑戦のしがいのある作品でしたので、機会があったら展示して、自分も見てみたいなという気持ちがどこかにずっとあったと思います。そこで、しばらくは、僕の心の作品収蔵庫に保管されていたわけですが、2016年のシュタイデル・ブックアワード・ジャパンを授賞しましたという知らせを相模さんからいただきまして、それはおめでたいし、だったら、写真集の出版だけでなく、展示してみたらいいなという気持ちが強くなり、相模さんに、展覧会をやりませんか、しかも、せっかくなので恵比寿映像祭参加の展覧会として、とお声がけしたのです。それが、おそらく1年半くらい前の話ですかね。その時は、第10回恵比寿映像祭のテーマはまだ公表されてなかったのですが、面白く奥深い作品であれば、お尋ねの言葉をお借りしますと「本物の見え方」をしていれば、どのようなテーマにしてもこの作品なら対応できると考えていましたし、大きな映像祭ですので、あまり特殊なテーマは想像できず、ある程度、幅のあるテーマが掲げられるでしょうから、大丈夫だと。で、しばらくして、テーマが「インヴィジブル」ということが知らされました。それを聞いた時は、相模さんの作品の内容とあまりにもシンクロしていて、二人でびっくりしました。嬉しい驚きでした。そこから、タイトルを相模さんと考え始めました。相模さんからいくつか提案をもらい、話し合いながら自然と「Behind Closed Doors」に落ち着きました。

 

 

 

12年かけて2万点以上撮られた中からの153点。それをブロックごとにグリッド状に構成して展示する。このような形になさるのに何か理由があったのでしょうか?またそれは深川さんと相模さんで決められたのでしょうか?

 

先ほどお話ししましたように、どのように展示するのかがこの作品の大きな課題でした。最初に見せてもらった時の相模さんのプレゼンテーションでは、かなりタイポロジー的な思考が強いものでした。撮られている対象の種類、撮り方を見ると、確かに、タイポロジカルな展示がまず浮かんでくるのかもしれないのですが、僕は、それは少しその内容に合ってないという印象を受けていましたので、展示の仕方を考えないといけないということを相模さんにお伝えした記憶があります。で、実際に展示することになって、相模さんは改めて自分の膨大な作品に向き合って、作品と対話を進めていきました。グリッドで構成する写真の展示コンセプトは、2月10日に行いましたトークの中でお話ししましたように(先週のブログをごらんください)、ベッヒャー夫妻のタイポロジーが切り開いたものです。それに敬意を表しつつも、そこから脱却していくという方向性の展示ができないかと相模さんと話しながら、最終的には、ベッヒャー的なタイポロジーとは異なる志向を持ったグリッド展示に成長していきました。展覧会を決めてから実際の展示まで、約1年間ありましたので、その間で、相模さんの中で、シュタイデル・ブック・アウォードに提出する写真集の編集作業を経た上で、さらに自らの作品の中に入り込んで、展示の実験を積み重ねることができ、それがこのような形で結実したのではないかと思います。

 

 

 

 

 

A衞呂気鵑魯轡絅織ぅ妊襯屮奪アワードを受賞なさりシュタイデルから2018年または2019年頃に写真集が出ることになっていますがその後の相模さんの制作に期待することや方向性への希望などはございますか?

 

シュタイデルと相模さんとの共同作業となる写真集の出版は本当に楽しみです。

 

その内容の詰めは、これからだと聞いていますので、おそらく、今回の展示に至るまでの自らの作品との対話が新たに反映されるのではないかと期待しています。その写真集を、この展覧会で一緒に展示したかったのですが、お楽しみはこれから、ということで待ちましょう。12年かけて撮り続けてきたこのシリーズは、もちろん、これで終わるわけではなく、さらに続けていくことに大きな意義があるでしょう。これは、相模さんのライフワークとなると思います。アジェは、パリを一体、何年間撮り続けたでしょうか?アジェは写真を始めるのがかなり遅くて40代になってからで、1927年に70歳で亡くなっていますのて、19世紀末から30年以上、パリを歩き回って撮ってたんです。相模さんの年齢の時は、アジェは、まだ写真を撮ってないのですよ。それからすると、12年はまだこれからでしょう。続けていく中で、今回の展示のプロセスがそうであったように、さらに作品が成長していくことを楽しみにしています。日本の社会の風景自体も、これからさらに変貌していくことでしょう。相模さんが撮っている「荘」はいつまでその原型をとどめるのでしょうか?その姿を写真にしていくのは、まさに、写真家の仕事であり生なのです。また、相模さんがこのシリーズと並行して進めてきた作品もかなり蓄積されているということで、未発表の作品群がどのように展開するのかも楽しみにしています。今回の工房親さんでの展示が、いわばジャンピングボードとなって、相模さんの写真世界がさらに広がっていくことを願っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

恵比寿映像祭は東京オリンピックの2020年までは少なくとも活発に行われようとしています。

しかしこのような取り組みは何十年も積み重ねてこそしっかりと文化として根付くと思います。(恵比寿映像祭は今年で10年目)

 

深川さんが先週のブログに書かれたようにインスタなどの軽い写真を超えたものをどんどん出していくためにも、また積極的にご参加下さることを願っています。

 

 

今、冬季オリンピックが開催中ですが日本の選手はかなり頑張っているが古くからの横道なアルペン競技などではまだまだヨーロッパ、アメリカに追い付けていません。彼らの恵まれた環境と歴史に追い付くには時間が必要。

恵比寿を映像の街にするためにはまだまだこれからの努力が大切だと感じています。

 

馬場隆子


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  • 2018.12.14 Friday
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  • 13:30
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